深部体温の調整
機能の話からの続きとなりますが、深部体温の調節は、『熱産生』と『熱放散』によって行われています。
熱産生は2種類の方法があり、1つは、脂肪やグリコーゲンの代謝を促進して熱エネルギーをうみだす方法。2つ目は、無意識的に筋肉を動かす行為(シバリング)によって熱エネルギーの産生しています。
熱放散は、基本的に皮膚からの水分の蒸発により行われます。ちなみに、水は1g蒸発すると約600カロリーの熱を奪います。
安静時にはあまり感じることはできませんが、私たちの体からは常に発汗をし、水分を蒸発しています。これを『不感蒸泄』(ふかんじょうせつ)といい深部体温の調節に重要な役割を果たしています。
汗が蒸発するときには、皮膚の毛細血管を流れる血液から熱エネルギーを奪っていくために、血液が冷やされ、その血液が体の深部に戻ることで体の内部が冷やされます。外気が冷たい時には、深部体温が低下しないように熱産生を促し、皮膚の毛細血管を収縮させることによって血流量を下げて熱放散を抑えます。
暖かい血流が皮下を流れる量が減るため、体表温度が低くなり、熱放散性が少なくなり深部体温が維持されます。
暑い時には、深部体温が上がり過ぎないように熱産生を抑制し、血管を拡張し、発汗を促して、熱放散を促進します。
入眠前後には盛んに熱放散が行われ、深部体温が低下していきます。この時、皮下の血流量が多くなるために体表温度が上昇し、手足がポカポカと暖かくなります。眠くなると手や足が暖かくなるのがこの現象です。
一晩の睡眠で、コップ一杯の汗をかくと言われていますが、そのほとんどは不感蒸泄によるものです。ちなみに、コップ一杯の汗は、年間の平均であり、もちろん真夏は、3杯くらい(多い方は5杯くらい)かいています。
睡眠直後は、まだ体温が低下を続けていく時間帯なので、不感蒸泄や発汗が促進され、睡眠が深いほどその量も多くなります。
睡眠にはこうした発汗のシステムがあるために、寝具の吸湿性や通気性の機能が求められ、理想の寝床内気候(しんしょうないきこう)を快適にすることが、快適な睡眠になるのです。
明日は『理想の寝床内気候』についてお話しします。